2018/3/23

3月23日再度、農福連携を考える

2018年

2月に農業と福祉の連携を話し合うシンポジウムが開かれた12月20日付のこの欄書いた農福連携について、再度考案してみたい。
「減子増老化」や生産年齢人口の減少で産業や社会のあらゆる分野での人手不足が深刻になっている。厚労省によれば、日本全体で障害者の数は、15人に1人と割合で約860万人だという。この人達に社会の支え手になってもらうことは、女性や高齢者と共にとても重要な事である。
また、農業のもつ福祉力を活用することは、障害者の生活の質の向上にもつながるはずである。

農福連携には、以下のようにいくつかタイプがある。
(1)福祉事業所が農業に取り組む。
(2)農業者(農家)が障害者を直接雇用する。
(3)農水省(農家)が福祉事業所に農作業を委託する。
(4)企業が1部門として、農家を実施しそこに障害者を雇用する(障害者雇用率確保)
等である。

(1)の例として、鹿児島県の社会福祉法人白鳩会の花の木農場がある。養豚、お茶をはじめ多くの農作物を生産している。白鳩会では、障害者が継続的に自立出来るように、生産だけでなく加工、販売等も手掛け、いわゆる6次産業化を実現し、収益アップを図っている。
養豚で言えば、豚を飼育し肉を加工し販売したり、レストランを経営したりしている。カフェも開設し、観光客のドライブ客に喜ばれている。花の木農場が観光農園となり、地域の活性化に多大な貢献をしている。
ここでは、職員が障害者一人一人の個性をよく理解して大型重機の操作等も任せている。はじめから出来ないと決めつけていないのである。色々な職種を経験し、障害者がスキルアップを図っている。6次産業化を実現する場合、一番困難なのは販路の開拓である。
ここで行政とJAとの連携が必要となる。

(2)の好事例は、浜松市の京丸園株式会社である。ここでは、一年を通じてハウスで葉物野菜を栽培している。従業員の1/3が障害者という事である。障害者が安心して働けるよう様々な工夫がなされている。各種工夫により、障害者は十分な戦力となった。また、ここでは働く事が障害者のリハビリにもつながるよう考えられているというから素晴らしい。
この会社で最も注目すべきは、精神保健福祉士や社会福祉士等、福祉のプロの力を導入している事。プロによるサポートで、障害者は生き生き働いている。
京丸園では、障害者雇用がゼロだった時の7,000万円の売上から2017年には24人の受入をして、3億7,000万円の売上に伸ばしている。
障害者を雇用する事で、収益が上がったと社長さんが確信を持っている。ここがすごい。

(3)で重要なのは、福祉施設と農家とをつなぐコーディネーターの存在である。
農家がどのような作業を委託したいか、福祉側はどのような事ならやれるかをマッチングさせる必要がある。
この好事例は、香川県の「NPO法人香川県社会就労センター協議会」である。
コーディネーターは、まず人手が欲しい農家の情報を集める。次に作業が可能な人出をもつ福祉施設と照らし合わせて両方をマッチング。1つの農家の作業を受ける、委託先は日替わりでも構わない。行ける時に行けばよいのである。
香川県では、農家から障害者に依頼された耕作面積が2011年に約10haだったのが、2015年には約50haと5倍になった。

農福連携とは次元が異なるが、滋賀県高島市では、9つの福祉事業所が連携して、障害者が限界集落をまわり、高齢者の買い物支援を行い「移動商店街ぎょうれつ本舗」を展開している。障害者が社会課題解決の一翼を担っているのである。

大切なのは、農家の収益が向上する事と、障害者の経済的自立と生きがいの両立である。外国人を使う前に障害者雇用を検討してもらいたい。
 
 

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